「働くを輝くに」と思える人たちを増やしていきたい/ ORSCC柴田郁夫
株式会社志木サテライトオフィス・ビジネスセンター
代表取締役社長/ORSCC 柴田郁夫
目次
働く人たちが幸せになる場を作りたい
現在、株式会社志木サテライトオフィス・ビジネスセンターの代表取締役社長、一般社団法人地域連携プラットフォームの代表理事をしています。また、「職育」をテーマに始めた学童保育も運営しています。
志木サテライトオフィス・ビジネスセンターの理念は、「働くを輝くに」。働く人たちが幸せになる場を作りたいと願い、
①主にSOHO向けのレンタルスペースやレンタルブースの運営
②職業訓練
③キャリアコンサルティング関連事業 をおこなっています。
今、最も思い入れがあるのは、「キャリアコンサルタント養成講習」です。国家検定資格の「キャリアコンサルティング技能士1級」を取得し、一般社団法人地域連携プラットフォームで他の講師と共に、この養成講習を行っています。卒業生は550名を超えました。
キャリアコンサルタントにも活きるORSC
ORSC(Organization and Relationship Systems Coaching=システムコーチング)を学び始めたのは、今から3~4年前です。きっかけは、ORSCC(Organization & Relationship Systems Certified Coach)の資格をお持ちの熊平美香さん(当時、日本教育大学院大学の学長)に勧められたことでした。
「キャリアコンサルタントとしてすでに経験豊富な柴田さんが、なぜORSCを学びに来たのですか?」
と聞かれたことがあるのですが、キャリアコンサルタントは「常に資質向上に向けて絶えざる自己研鑚に努めなければ ならない」という倫理綱領があります。いくつになっても学生のような気持ちでいて、もっと学びたいと思っています。
また、キャリアコンサルタントは、1対1のキャリアカウンセリングだけではなく、1対多に対するファシリテーションやキャリア研修も行います。キャリアコンサルタントにとって組織を元気にすることも大事な仕事です。ORSCはこの仕事に活きるのではないかと思い、受講を決めました。
「もうダメだ」と感じた実践コース
ORSCを学び初めた頃は、体を使うワークに「なぜ、こんなことをやらされるんだろう。もっと知識を学べると思ったのに…」と感じていました。しかし、そこにも意味があるとわかり、いつの間にかORSCに面白さを感じるようになっていました。
プロフェッショナル実践コースでは、ORSCを行なった様子を録音してフィードバックをもらうスーパービジョンがあるのですが、「場の感情を読んでいない」などと言われ、何度やってもダメだと感じた時期がありました。
そんな時に参加した、2人体制のファシリテーションを学ぶ「アルケミー」というコースで、一緒にペアを組んだ人から「柴田さん、絶対資格取りましょう」と強く言われ、最後まであきらめずに取り組むことができました。
システムが持っている力を信じる
ORSCを学んだ中で印象に残っているのは、組織やチームを1つの生き物、有機体として捉え、そのシステム(関係性)が持っている力を信じることです。1対1のキャリアカウンセリングでは、クライエントの中に成長していく芽があり、何か困っていても、その人の中に解決できる力があるという前提で話を伺います。それが1対多でも同じで、組織やチームも知恵を持っていて、システムは自分で良くなっていく力を持っていることをORSCで学びました。
また、キャリアコンサルタント養成講習の参加者に対して、「この第26期の土曜日コースのメンバーとして、今度どういうグループ・組織・集まりになっていきたいですか?」と、システムを意識した質問をすることもあります。このように学んだ要素を「キャリアコンサルタント養成講習」などの中で活用しています。
もう一つ加えるとすれば、夫婦でORSCを体験したのですが、夫婦関係についても学びがありました。私はいつ何をするかという「現実的なこと」を話すことが多いのですが、妻は「もっと共感して欲しい」と思っていることを知りました。
妻は「あんな苦しい体験はなかった」と話していましたが、「夫が何を思っているか知れて良かった」とも言っていました。私は未だに共感や感謝ができていませんが、以前よりは意識するようになりました。
ワールドワークプロジェクトが思いを後押し
ORSCCを取得する際に、自身がORSCの知恵をどんなシステムに使いたいかを決め、プロジェクトとして推進する「ワールドワークプロジェクト」というのがあります。私のワールドプロジェクトの1つは、「働くを輝くに」という世界を創ること、もう1つは私たちの組織を良くすることでした。
キャリアコンサルタントは、キャリアカウンセリングやキャリア教育などを通じて「働くを輝くに」と思える人たちを増やす仕事です。その「働くを輝くに」できる人を養成することは、ワールドワークプロジェクトの一環だと思っています。
ORSCを学んでいた当時もキャリアコンサルタントの試験対策本を出していましたが、今では年版を毎年出版し、ベストセラーになっています。また、「キャリアコンサルタント養成講習」は、ORSCを学んでいた頃は年間8コースぐらいでしたが、今では22コースになりました。来年はさらに増やす予定です。
2つ目のワールドワークプロジェクトは、私たちの組織を良くすることです。ORSCCを取得する際に、自組織に対して一緒に学んでいる仲間とORSCを実施しましたが、私はコーチであると同時に組織の代表でもあるので、両方の役割を持った“多重関係”でコーチングをすると、なかなかうまくいかない体験もしました。
最近、社内で関係がぎくしゃくしているグループがあります。お互いが大変な時に助け合えるよう、もう少し深いコミュニケーションが必要なので、ぜひ一緒に学んだ仲間にORSCをして欲しいと考えています。
キャリアコンサルタントをもっと育てたい
これから「働くを輝くに」と思える人たちがますます増えるよう、養成講習を通じてキャリアコンサルタントをもっと育てたいと思っています。
現在、育ててきたキャリアコンサルタントは550人なので、2年後にはその3倍にするのが目標です。そのためには、働かれている一人ひとりはもちろん、企業や行政にも働きかけていこうと考えています。
さらに言えば、日本を越えて海外のキャリアコーチングなどの情報も得て、ネットワークを広げていきたいです。このような形で、今後も「ワールドワークプロジェクト」を続けていきます。
▼一般社団法人地域連携プラットフォーム
https://careerjp.work/
▼キャリアコンサルト養成講習
https://careerjp.work/cc1/lp_2/
編集後記
「『働くを輝くに』できる人を養成することは、ワールドワークプロジェクトの一環」と思いながら前進されてきた柴田さん。ORSCによって夫婦関係に変化が見られたお話も興味深く聞かせていただきました。ここから、社内や家族の中にある様々な声に耳を傾け、心を合わせながら素敵な組織や家庭を創られていくことを祈っています。(ORSCCのライター:大八木智子)