【後編】アルケミーへの参加で、最強のパートナー&最強のサポーターに変化
【前編】共通の目的を達成するために、「Vision 2025」という戦略を展開
【中編】勇気や気づきをもたらしたシステムコーチングの学び
【後編】アルケミーへの参加で、最強のパートナー&最強のサポーターに変化(今この記事を読んでいます)
【後編】アルケミーへの参加で、最強のパートナー&最強のサポーターに変化
目次
リーダーのリクエストで英語でのセッションにチャレンジ
――システムコーチングのセッションをしている中で、何かご苦労はありましたか?
奥村さん:実はこのチーム、参加メンバーに外国人が一人いるので、英語でシステムコーチングのセッションを行っていました。これが私たちにとってはものすごいチャレンジで。普段私たちは英語で仕事をしていますが、どんなに英語がうまい人でも自分の気持ちを英語で語ると語りづらいこともあるかもしれないし、どう言うか考えたりすると英語で言えなくなる可能性もあるので、「日本語でやった方が良いのではないか」と提案したんですね。外国人の方に通訳をつけて、リアルタイムで聞けるように。
しかし、そのリーダーからは「英語でやりたい」とリクエストがありました。インクルーシブな考え方で、自分たちが考えていることがリアルタイムで外国人の同僚に伝わるためには英語でやりたいと。「普段から英語で仕事をしているから大丈夫」と言われました。
これまで日本語で実施してきたセッションを英語で実施するのは、私たちにとってすごくエッジ(心理的な抵抗、障害)がありましたが、チャレンジしました。
――そのエッジは、どう乗り越えられたのですか?
奥村さん:乗り越えたんですかね…。セッションの前日になると「また英語か」とお腹が痛くなりました。でも、もうやるしかないなと。時々、パワーポイントの資料を映すようにしていたのですが、そこには日本語と英語で文章を書きました。英語でセッションをすると、どうしても言葉が丸まってしまうことがあるので、こだわりの日本語を書き、補足しながら頑張りました。
――英語で行う以外に、なにかご苦労やチャレンジはありましたか?
人事の責任者としてではなく、「一人のコーチ」としてここにいる
瀧口さん:セッションを行う時は、毎回チャレンジがあります。プランニングのところから、「このチームはどのような姿なんだろう」「どのツールが良いのか」を毎回奥村さんと話をしています。奥村さんにはたくさんの道具箱があって、どれを使えば良いかその場その場で臨機応変に判断されていますが、私はまだまだどのツールを使えば良いのか難しく感じながらやっています。
奥村さん:組織の中でシステムコーチングを行う時は、私が「人事の責任者」であることは皆さんに見えてしまいます。そういう中で、皆さんが「本当に自分の考えを述べられるのか」「生身のところを見せて良いのか」というハードルを持つ可能性があります。それをどう取り払うのかが、私のひとつのハードルだと感じています。工夫はしていますが、本当にそれをみんなが取り切れるかどうかはわかりません。
――「工夫はしている」とおっしゃいましたが、どのような工夫をされているのですか?
奥村さん:セッションを始める前に、例えば「今日の呼び名は、奥村さんではなくて、由香さんでいきます」と伝えたりします。最初から「今日は人事の責任者という役割ではなく、一人のコーチとしてここにいます。なので、私も皆さんにそういう風にアプローチするし、皆さんもそう思ってくださいね」と伝えています。もう一つ言うと、例えば体を動かすワークの時に、人一倍大きくやって、まずは自分からという姿を見せています。
――いろいろなご苦労やチャレンジがあるのですね。では、反対にシステムコーチングを行うことの「喜び」について聞かせていただけますか?
今のチームの本当の姿を認識された瞬間に喜びを感じる
瀧口さん:「自分たちのチームは良いチームだと思っていたけれども、実はそこには遠慮があった」とか「チームのメンバーがこういう風に考えていることがわかった」というように、そこにいる人たちの「気づき」の瞬間、今のチームの本当の姿を認識された瞬間に喜びを感じます。そこに生まれてくる会話や彼らの関係性の質というところに、少しずつシステムコーチングが染み込んで行っているのだと感じて。そうしたフィードバックを聞くと嬉しく思います。
奥村さん:私は、チームがシフトする瞬間や場が変わる瞬間をリアルに感じることができた時に感動があります。その感動を味わうと、本当にシステムコーチングをやっていて良かったなと思います。それが喜びです。
瀧口さん:感動と言えば、CRR Global Japanの「アルケミー」(注)というコースに奥村さんと一緒に参加したのですが、私にとってはそれが本当に大きな経験でした。ファシリテーションやリーダーシップついて学ぶコースなのですが、2人でコーファシリテーションをする時に一番初めに見なければいけないのはクライアントではなく、コーファシリテーションをする「2人の関係性」だと知り、目から鱗でした。
思い返してみると、アルケミーに参加する前は、奥村さんに対して遠慮があったのかなと思います。というのも、奥村さんはコーファシリテーションをする時のパートナーですが、同時に私の上司でもあります。今も上司・部下という関係性ではありますが、遠慮は減ってきています。コーファシリテーションをする時は、奥村さんは最強のパートナーであり、最強のサポーターで、その意識が本当に変わったと思います。その他にも、アルケミーコースに参加したことで、様々な学びがありました。
(注)アルケミーコース
https://crrglobaljapan.com/facilitation/alchemy/
奥村さん:私も、本当にアルケミーに参加する前と後では別世界を生きている感覚があります。瀧口さんと一緒に参加して本当に良かったと思っています。2人で一緒に体験でき、その後も学びを一緒に展開できるのは、すごい効果だと思います。
これまでいろいろな場面で瀧口さんと一緒にコーファシリテーションしてきましたが、今までは自分が引っ張らなければいけないという意識がどこかにあったと思うんです。今は、そういうのがありません。例えるならば、動物の親子から、信頼し合っている動物の夫婦という関係性へ変わったと感じています。目には見えませんが、タッグを組んでいる感じがものすごく自分たちの中に芽生えました。
――最後に、こうした取り組みをしていく中で、今後の展望について聞かせていただけますか?
システムコーチングでチームをコーチングできる人を社内に増やす
瀧口さん:私はI&Dの観点から、みんながありのままで遠慮なく、お互いをリスペクトしながらコミュニケーションできるというところにつなげていきたいです。関係性の質を上げていくと最終的には結果の質も上がるという 、本当の意味での企業内インクルージョンを推進していきたいです。
奥村さん:「Vision 2025」の達成に向けて「人と組織を育てる」ことを実行するために、まずはパイオニアとして、システムコーチングでチームをコーチングできる人を社内に増やさなければと思っています。
社内第1号は瀧口さん、第2号、第3号を意図的につくるために、人事の社員2人が「組織内チームコーチ養成講座」へ参加しました。「サイエンスの限界に挑戦し、患者さんの人生を変える医薬品を届ける」。この共通の目的を達成するために、これからも力を合わせて組織開発を進めていきます。
【編集後記】
上司と部下という関係性の時は、お互いを「奥村さん」「瀧口さん」と呼び、コーチの帽子(役割)をかぶり、一緒に場を創っている時には、「由香さん」「たっきー」と呼び合うお二人。そのギアチェンジを楽しんでいらっしゃる感じが伝わってきました。また、アルケミーコースに参加したことで、お二人の関係性がガラッと変わったこと、「私たちの間では“おかわりしたいワークショップ”」だと笑いながら話されていたことがとても印象的でした。
(ORSCCのライター:大八木智子)
<組織内チームコーチ養成コース関連記事>