こうしてシステムコーチングは社内に広まっていった

introduction slide of the article

(オンラインイベント)組織内チームコーチ™️の実践事例
〜今なぜ「組織内チームコーチ」が必要なのか?〜
【前編】 システムコーチングの力で社内を変革していく
【後編】 こうしてシステムコーチングは社内に広まっていった(今この記事を読んでいます)
【Q&Aセッション】

システムコーチングの資格(ORSCC)を持ち、組織内チームコーチとして活動しているMSD株式会社の戸村玲子さんとSansan株式会社の三橋新さんにお話を伺うイベントレポート後編。

前編ではお2人がシステムコーチングとどのようにして出会い、社内に導入するにあたってどんな困難があったのか、リアルなお話を伺いました。

後編では、それを乗り越えて社内にコーチング文化が広がっていった過程をご紹介いただきます。

社内にコーチングが広がっていった過程

――個人コーチングもシステムコーチングも、組織にすっと入るわけではないというのが聞こえてきますが、潮目が変わったのは、どのあたりから何が起きたのですか?

Mr. Mitsuhashi (speaker)
三橋さん

個人コーチングでいうと、140人位の企業規模の時に70人位コーチングした頃です。それこそ社員とエレベーターで一緒になると「コーチングをしてください」と言われるようになりました。現場でも体験者が増えて、その方たちが本当に良いものだと思ってもらえた時に潮目が変わりました

システムコーチングについては、初めの頃は「新しいものをまずは触ってみたい」という人たちがやってくれたりするんですよね。「何だかわからないけれども、まずはやってみよう」と言ってくれるマネージャーがいたりして。そういう形で最初は広がっていきました。

それが2-3年経つと、その時の経験者が昇格して自分のチームを持って、自分のチームにやってみるという。そういう広がりが出てくる感じがありました。なので「このタイミングで潮目が変わった」というよりも、延長線上でじわじわと広がってきているという感じがしています。

――戸村さんはいかがですか?

距離感がぐっと縮まった

Ms. Komura
戸村さん

去年の1月からアジャイル組織が発足して、それから間もなくのタイミングで大きな組織のリーダーを集めた会があって。そこで2日間のセッションをやりました。それが非常にうまくいって、すごく評判も良くて、他の組織にもやろうということになったんです。

参加した皆さんが異口同音に言ったのは、普段は先ほどの「3つの現実レベル」でいうと、一番上の「合意的現実」の話しかしていなかったよねと。

実はみんなすごく困っていたのに助けていなかったとか、気持ちを話す機会がなかったとか。このシステムコーチングのツールを使って色々な対話をするんですけれども、それによって皆さんの距離感がぐっと縮まったなと思えるような話が出ていて。本当に良いタイミングで、しかも適切なメンバーでできたというのがすごく大きかったと思います。


――今ミドルマネージャーが抱える悩みのほとんどが、人間関係の悩みなんですよね。上司との関係性であったり、部下との関係性であったり、他の部署との兼ね合いとか。システムコーチのように、間に入ってくれる人がいるというのは大事なのではないかと改めて思いました。

社内に専門の人材がいることの価値

Mr. Mitsuhashi (speaker)
三橋さん

マネージャーとやり取りすることが多いのですが、マネジメントはやはり事業を進めていくことの比重が高くて。しかもスピーディーにやっていかなければいけないので、人や組織にかける時間が少なくなったり、その専門知識を学ぶのに一歩奥手になってしまうことがあると思います。

社内にそういう専門の人材がいることの価値は、その辺にあるのではないかと思います。事業と組織の両方が大事という中で、そういう役割分担ができると成り立っていくという感覚があります。

システムコーチが社内にいるとなぜ良いのか

Ms. Komura
戸村さん

アジャイル変革という大きな変革を考えた時に、人事としてやることはたくさんあります。中の人間がシステムコーチングの知識を持っているメリットは、それを戦略的に会社の大きな方向性の中でストーリーとして活用出来ることではないでしょうか。外部の方だと、そういう変革の早い段階から、会社の方向性を考慮しながら関わるのはなかなか難しいと思います。

――中の人がやると、やればやっただけさらに社内の情報が入ってくると思うので、また次が見えて、そのサイクルがすごく早く始まるだろうと思います。

Ms. Komura
戸村さん

そうですね。やはり社員の皆さんとの距離感もだいぶ近くなりますし、信頼関係もできるし、かつ中にいるとこのセッションは外部に頼んだ方がいいという判断もできると思います。

また、そういう知識を持った人が社内にいないと、システムコーチングというオプションがあることを思いつかないと思います。

社内の人間がそういう知識を持っていたり、ある程度その実践ができるという価値は、そこにあるのではないかと考えながら仕事をしています。私の場合はシステムコーチングを、いくつかの解決方法とか手法の道具箱の1つとして使っています。

Mr. Mitsuhashi (speaker)
三橋さん

会社の中では課題が明確になっていないことが多く、その中で外部にコーチングを頼むハードルはすごく高いと思います。何のお金を使って、その成果は?と起案で求められると思うので。

その点社内の場合は、外部に頼むよりもだいぶハードルが低いと感じます。課題を明確にするところから入れるので、マネジメントと信頼関係を結んで、より早く見えない課題を顕在化できるところが、社内にシステムコーチがいるメリットだと感じます。

――Q&Aへ行く前に、1つお二人にお聞きしたいのですが。社内でシステムコーチングするの、怖くないですか?

ウェブでも遜色のないセッションができる

Ms. Komura
戸村さん

まだ会社に導入し始めた時は不安がありましたが、今はニーズがあることを確信しています。去年は会社の変革に加えて、コロナが後押しをしているなという感覚がありました。

第1回目のシステムコーチングのセッションを対面で実施した時に、ものすごくうまくいったのですが、「よしこの勢いでやるぞ」と思ったらコロナが起きてしまいました。それまで計画していたたくさんのシステムコーチングのセッションを実施すべきなのか延期すべきなのかを考えたのですが、ウェブで意外とできたのです。

まず感じたのが、そもそもコロナで圧倒的に対話やコミュニケーションが減っているので、こういったシステムコーチングのツールを使って、気持ちを話す、声を出すことはとても大事だなというのがまず1つ目です。

もう1つは、いろいろなデジタルツールを使ってみて、ウェブでも遜色のないセッションができるなと感じました。参加者から「ウェブだと他の人の目を気にしなくて意見を出せるので、より正直に声を出せる」とも言われました。対面で上司や関係者の目があると、ちょっと勇気がいるものが、逆にウェブだと比較的できるそうです。もちろん対面の良さはたくさんありますが、システムコーチングはウェブでもできることが分かり、コロナ禍でシステムコーチングのニーズはすごく高いなと感じました

対話の時間を意図的につくる大切さ

Mr. Mitsuhashi (speaker)
三橋さん

怖いかという問いでしたが、怖くありません。やはりニーズが高いなと思います。逆に今のマネジメントリーダーの人たちがこういう対話の時間をいかに意図的に作れるかがすごく大事だと思います。


コロナ禍において昔のように机を並べて雑談することはもうできないわけで。こういうシステムコーチングというツールを通じて、本当に思っていることを伝え合う、現状を理解していくということはすごく大事だと思います。特にリモートワークでは、新しく入ってきた方々は遠慮があって、日常的な関係性の中で声を出しにくくなっていると感じます。

当社はSlackというツールを使っているのですが、Slackでもメッセージが返ってくるのに時間のタイムラグがあるし、電話をかけるほどでもないし。「自分で考えて、止まってしまう機会がある」という声が最近挙がってきているので、まずその課題解決に着手しています。対話の場がないと、そういう声すら出てこない。そっちの方が怖いと思いますね。

【Q&A】では、リスナーの方から寄せられた質問について、ゲストのお二人に聞いていきます。